ヨーロッパでは環境問題に意識が非常に高いため、自然を象徴する緑はプラスのイメージがある色です。しかし中世の時代においては必ずしも良いイメージだけではなく、むしろ悪魔・毒を連想させるものもあったようです。
例えばイギリスでは、20世紀の初め頃まで緑色は不吉な色と考えられていました。舞台俳優は緑色の衣装を着ることを嫌い、シェークスピアの戯曲「オセロ」では嫉妬のことを「グリーンアイド・モンスター(Green-eyed-monster:緑の目の怪物)」といいます。そういえば、今でもホラー映画に登場するモンスターやゴーストは、青緑系が多いかもしれません。
また、緑は運命や偶然の色とも考えられていました。緑=自然という連想で、自然の脅威は人間の力ではどうしようもできないことから、緑は人間の支配できない色と認識されていたそうです。故に、人を振り回す偶然の色として、賭博のポーカーやルーレット、ビリヤードのテーブルが緑なのはそれが理由という説もあります。
現在、緑は安全・平和・生命と良いイメージばかりです。前述したようなマイナス面が語られることはほとんどありません。中間色で好き嫌いが少ない緑が、安定を願い世界各国の紙幣の色に使われているのは、当然のことなのでしょう。