農林水産省は「花や緑の効用・家庭とオフィスの導入状況に関する調査」という報告書を発表しています。 花きの新規需要開拓を探るための可能性調査として、2020~2021年に実施したものです。 対象を家庭とオフィスに分け、オフィスについては約5000人からインターネット調査を行っています。質問項目は「オフィスに花や緑があることで感じること」などで、性別や年代によって結果に違いが見られました。

☘男性社員と女性社員の違い

オフィスに花や植物があるとよいと感じることで、最も多かった意見は「部屋が明るくなる、華やかになる」でした。46.1%とほぼ半数の回答ですが、内訳は女性が55.1%、男性は38.0%と男女で大きな差がでました。 次いで3割を超えたのは、次の2項目です。 ・リラックスできる(35.4%) ・優しい気持ちになれる(30.4%)」 リラックスの方は男女差がほとんどありませんが、「優しい気持ちになれる」は女性の方が多かったです。 その他は以下の結果です。ここでもすべて、女性社員の回答が男性社員を上回っています。 ・空気がきれいになる(18.0%) ・来客へのおもてなしにつながる(17.1%)  ・季節の移り変わりを感じられる(17.0%)  ・会社のイメージが良くなる(11.3%) また、女性社員比率が高い職場では、花や緑を飾っているという回答は 57.1%に対し、女性比率が低い会社では 35.7%です。21.4 ポイントと大きい差がでました。 この結果からみると、全体的に男性社員より女性社員の方が、オフィスに花や緑があるのが良いと感じることが多いようです。

☘年代別による違い

他に差が見られたのは、年齢による違いです。50代より上になると「来客へのおもてなし」「会社のイメージが良くなる」といった対外的なイメージの向上が高くなります。 一方、20代30代といった若い年代は「やる気が出る」「仕事がはかどる」「アイデアが出しやすい」「意見交換が活発化する」と感じているようです。 つまり、花や緑で自らの気持ちを高めて、仕事の能率を上げているのが若い年代です。実際に、若い社員が多いオフィスでは61.2%が花や緑を飾っていると回答しているのに対し、若い社員が少ない職場では37.8%で、23.4 ポイントと大きな差がでています。 花や緑の存在を、年配の世代は会社のため、若い世代は自分のためと感じているようです。

☘花と緑の新規需要の可能性

冒頭で触れたように、本調査はコロナ禍で社会が自粛中の中で行われた新規需要開拓を探る可能性調査です。明確な市場の可能性や具体的な施策を報告しているものではありませんが、興味ある資料です。 特にオフィスに花や緑があることで、女性社員がオフィスに良い感情を持つ、また若い社員のモチベーションアップになるということは注目される結果です。女性社員・若手社員は、いずれも会社を伸ばしていくポイントとなる人材層です。彼らのためにもオフィスに緑を。緑の力が彼らに良い影響を与えれば、業績向上につながることが期待されます。また1つ、行政が私たちを後押してくれているように感じます。