日本として史上最多となる金メダル獲得に沸いた2024パリオリンピックが閉幕、次のパラリンピックも日本人選手の活躍が大いに期待されます。

本大会は、ホスト国フランスが環境への配慮を大きく掲げて始まりました。セーヌ川の遊泳やペットボトル問題などの意欲的な試みが注目を集めましたが、うまくアピールできていない面もありました。評判も決して芳しいものばかりではないよう 

 主旨はわかるけど賛同はしない

 話題の1つとなったのは選手村の食事です。メインは動物性食品を使わないヴィーガン料理、環境に考慮したもので、美食の国フランスが提供する「驚きの料理」との声も聞かれました。しかし実際に食べた選手の中には、その意図は理解するが満足感に欠けるという理由で、選手村での食事をしない選手もいたようです。最高のコンデションで競技に臨みたい選手にとって、食事は大きなポイントであり、拘る気持はわかります。

環境保護は確かに重要ですが、アスリートとしては別の問題です。そのアプローチがかけ離れていては賛同を得ることはできません。例えば今回選手村の食事も、環境に考慮するのであれば地産地消のオーガニック食材を使い、伝統的で優雅なフランス料理の技法を生かしたメニューで、環境配慮と美食の両立をアピールすることもできたように思います。ヴィーガン食だけではなく、多様な食文化を尊重しつつ、健康的で持続可能な選択肢を提供することで、環境配慮の意味をより深く伝えることができたのかもしれません。 

 シンプルなテーマでもよかった

  環境問題は人間が最優先に取り組むテーマです。それ故に、伝え方を間違えるとこのように「主旨はわかるけど賛同はしない」「押しつけがましい」と受け止める人もいます。そうならないために、シンプルなメッセージも必要だったのかもしれません。

例えばフランスには美しい森林が広がっているのですから、その豊かな緑の力を最大限に生かす大会でよかったと思います。表彰式やプレス対応などのイベントは緑の中で行い、選手も観客も緑の中でリラックスしながら楽しむ。自然と触れ合い、地球の美しさを実感しながら、環境保護の重要性を直感的に感じることができる運営です。

また森林はその美しさとともに、地球温暖化の原因とされるCO2の吸収が期待されるのです。「パリ協定」でも強調された森林のCO2の吸収はカーボンニュトラルにつながる。環境をテーマとするなら、緑をメインとしてもタイムリーで多くのメッセージが残せたと思います。少し「力みすぎ」という印象もうけた大会でした。

 次回の開催はアメリカのロサンジェルス、エンタテインメントなお国柄派手な演出が予想されますが、サスティナブルな方向性とうまくバランスをとって成功に導いて欲しいものです。