観葉植物は昔、字のごとく観賞用として目で見て楽しむものでした。それが最近ではヒーリングなど様々な魅力と効果が知られるようになり、植物」を食事や音楽を融合させた店が増えているようです。
☘ 観葉植物とカフェの関係
“コーヒーブレイク”という言葉があるように、コーヒーは飲み物として多彩な味わいを持つだけではなく、精神的なリラックス効果をもたらします。つまり観葉植物と同じで、産学連携研究で明らかになった「メンタルヘルス改善効果」があるコンテンツといえます。
先月発刊された茂木雅世さんの「東京のおいしいボタニカルさんぽ」という本には、観葉植物や花を買いながら食事もできる店が紹介されています。こうした店は、東京近郊だけで100店を超えているようです。都心の大きな店舗から夫婦で経営しているまで規模は多彩で、植物も希少性がありなかなか手に入らない品種や海外のガーデングッズを揃えているところもあります。食べ物もヘルシーな食材や調理方にこだわるなど、特徴を出しているようです。
茂木さんは本の中で「旅行に出かけたかのように心と身体がリフレッシュする。そんな“都会のオアシス”を見つけるたびに、気持ちが少し楽になり、植物の放つパワーに何度も心を動かされました」と書いています。
お気に入りの植物を買った後は緑に囲まれて食事を楽しむ。そんな客層を対象とする“グリーンカフェ”ともいえるスタイルの店が、家族連れを客層とするファミリーレストランのように一般的に広まるといいですね。
☘ アナログの良さも伝える観葉植物
観葉植物を販売しているカフェの中には、レコードを売る店もあります。レコードはストーミングなどデジタルの普及で衰退しましたが、最近はアナログ音質が再評価され、新譜はアナログ盤もリリースするアーティストもいるほどです。そしてレコードを聴くには、袋から出したりターンテーブルにのせて針を下すなど手動が多く、この“手間を楽しむアナログ感”も人気だそうです。
これは、観葉植物を育てることによく似ています。水をあげたり葉っぱを拭いたりすることは確かに手間ですが、葉が活き活きとしたり新芽がでたりすると嬉しいものです。レコードと観葉植物にはこうした通じるアナログの良さがあり、人は豊かさと癒しを感じるのでしょう。
デジタル社会だからこそ、今はこうしてアナログの良さが見直されています。それは懐古ブームにつながり「昭和レトロ」などが良い例でしょう。昭和時代に流行ったものが取り上げられ、メディアには情報が溢れ、リアルタイムを知る年配者よりも詳しい若者がいるほどです。
本コラムでも変化が見られました。昨年12月に「80年代もお洒落な緑」というコラムを掲載しました。故わたせせいぞうさんの80年代の作品にポトスが登場する話ですが、今年10月に入ってから人気記事の上位にランクされるようになりました。11月は1番になる日も多かったです。昭和レトロの影響かどうか定かではありませんが、同じ80年代をドラマ化したNetflixの「極悪女王」の大ヒットとも重なって、注目されたのかもしれません。いずれにせよ、その度に植物も話題になることはいいことですね。