今週で仕事納めという会社が多く、私たちもクリスマスムードを盛り上げてくれたもみの木やポインセチアを引き下げて門松を飾り、新しい神様をお迎えする準備にあたります。今年も皆様には変わらないご愛顧をいただき、誠にありがとうございました。環境と健康の時代の中で、様々な問題で植物と社会がつながっていることを感じた2024年でした。関連性があるもの、話題となったものを、本コラムで紹介したものを含め振り返ってみます。

 

 気候変動について

正月早々に地震があった能登地方は、9月には豪雨に見舞われました。被災地の1日も早い復興を祈るばかりです。そして夏は異常な暑さとなり、今年の9月から11月までの全国の平均気温は平年と比べて1.97度高く、統計を取り始めた1898年以降最も高かった去年の平年差を0.58度上回り、記録を更新しました。今年は秋を感じることなく冬を迎えた気がします。

国際的にも、気候変動は大きな問題となっています。熱波、豪雨、台風などで甚大な被害が世界各地で出ています。そんな中、4月に欧州人権裁判所が出した裁判の結果が「歴史的な一歩」として注目されました。

この裁判は、スイスの市民団体Senior Women for Climate Protectio(気候保護のためのシニア女性)がスイス政府を相手に勝訴したものです。同団体が「熱波のため健康被害が生じているのは国の気候変動対策の怠慢が原因」と訴え、欧州人権裁判所は「スイス政府の努力は不十分であり、市民の人権を侵害している」と彼女たちの主張を認めたのです。

今後、国が敗訴したという前例となり、同じような環境訴訟が増える可能性が考えられます。日本でもここ数年異常気象が頻繁に発生し、特に大雨による被害は甚大です。カーボンニュートラルの取組の遅れが指摘される中で「今回の○○地方集中豪雨は、国の地球温暖化対策の遅れが原因」という裁判が起きるかもしれません。

 

こうした異常気象を引き起こしている原因は地球温暖化が原因とされています。国際的にも地球温暖化はCop(国連気候変動枠組み条約締約国会議)にて議論され、CO2を最終的にはなくしていく方向です。

ここで植物が大きく関係しています。産業革命前までは大気中のCO2は、海に溶け込んだり植物や植物プランクトンの光合成の自然現象によって吸収されてきました。いわば植物を始めとする自然が、地球の健康を守ってきたのです。

しかし、人間が石油や石炭などの化石燃料を大量に燃やしたことでCO2は急激に増加しました。そのために、前記のような処理では吸収しきれず大気中に残るようになってしまい、気温の上昇を招いているのです。これが地球温暖化の原因とされています。

どうすれば減らすことができるのか、その画期的な方法はまだ見つかっていません。現時点では植物による吸収に頼るしかないのです。植物の唯一無二の力が再認識されていくのです。パリ協定でも森林による削減が推奨されています。

また、室内のCO2の濃度が高くなると、人は眠気や頭痛に襲われて集中できなくなり、2000ppmを超すと体調不良を起こします。環境と健康の問題から、現代社会に植物は必要なのです。

 

しかし11月、アメリカ大統領選挙で共和党のトランプ氏が次期大統領となり情勢は変わるかもしれません。バイデン政権は、電気自動車の普及や再生可能エネルギーの推進などに巨額の補助金を投じてきました。経済低迷が政権交代の理由の1つであり、トランプ氏の再登場はこれまでと違うエネルギー施策が予想され、パリ協定の離脱も含め注目されています。

 

7月、厚生労働省は最新の医療機関を受療した患者数を科目別に発表しています。その中で精神科の受療者の増加が目立ち、2020年の精神科受療者は過去最多の約586万人となりました。前回調査の2017年から約196万人も増えているという結果です。新型コロナウイルスという未曾有の出来事も関係したのか、メンタルヘルスを蝕む人は確実に増えているようです。

改善策として、厚生労働省は10月に「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」を開き、ストレスチェック制度の義務をこれまで従業員50人以上の事業所から50人未満の小規模事業所にも適用する方針を発表しました。全ての会社で職場改善のためにメンタルヘルス対策が徹底され、労働者の健康管理がさらに強化されることになります。具体例としては、労働時間の見直しや業務の負担分散、コミュニケーション改善などが挙げられます。これにより、従業員が働きやすい環境が整い、メンタルヘルスの向上だけでなく、組織の生産性も高まることが期待されています。

ストレスチェック制度がスタートして、今月は丁度10年目となります。働く人のメンタルヘルスの安定、職場環境の整備は増々企業にとって求められていきます。それには植物の持つ力が必要です。特にコミュニケーションを闊達にする効果は大きいとされ、実例としてアメリカのアマゾンがコミュニケーションはモバイルではなく対面が大切だと、来年1月から在宅勤務をオフィス勤務に戻すことを発表しています。今年も、そして来年もストレスフリーでコミュニケーション豊かな職場には、緑は必要なのです。

 

 

 2024年、植物はこのように環境、健康、文化といった社会の流れとつながってきました。2025年も更に関係を深め「小さな森づくり」の提案を推し進めてまいります。来年もよろしくお願い申しあげます。

 

Merry Christmas and Happy New Year! I wish you all the best.

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