214日はバレンタインデー、この日にスイーツを贈るのは日本発祥の習慣です。市場規模は1400億円近く、菓子業界の年間売上の約2割を占めると言われ、冬の寒さを甘く包む国民的なイベントとして定着しています。 

バレンタインデーの主役といえばチョコレート。そのチョコレートですが、現在は生産地段階で大きな問題を抱えています。原料となるカカオ豆の価格が急激に高騰しているのです。 

〇カカオ豆高騰の原因

菓子メーカーはこの現状に円安が重なり、厳しい対応を迫られています。主力商品の値上げ、製品の量を減らして価格を維持する「ステルス値上げ」の実施、低価格帯商品の販売停止など、販売戦略にも影響を与えています。実際に店頭で100円以下の商品は少なくなりました。

このままの状態が続くと、2050年にはチョコレートが食べられなくなるというショッキングな予想も出ています。消費者である私たちも、危機感を持って受け止める必要がありそうです。 

カカオ豆価格高騰の主な原因は、次にあげる3つといわれます。①気候変動 ②森林破壊 ③需要の増加 です。

  • 気候変動は、カカオの主要生産地である西アフリカ地方が、気温上昇という異常気象に見舞われていることです。この為、収穫量が大幅に減少しています。特にガーナやコートジボワールでは干ばつや降雨不足が長期的に及び、生産に影響が出ています。

 森林破壊は、西アフリカの生産地で新たな農地確保のための森林伐採が進んだことです。結果、土壌の劣化や生態系の崩壊が起こり、カカオの生産効率が下がっています。 

これらは持続可能な社会の実現に逆行する要因です。地球温暖化防止に向けて、SDGsの実践やパリ協定の推進といった国際的な支援が期待されます。

 一方、③需要の増加は、世界的な健康志向の高まりが背景にあります。健康志向商品としてチョコレートの消費が増加し、カカオの需要がさらに高まり、生産が追いついていないのが現状です。また現地生産者の劣悪な労働環境の解決に向けた動きが進んでおり、彼らの賃金アップなど生産コストが上昇している面もあるようです。

 これは明るい兆しも見えます。SDGsを意識したフェアトレードチョコレートやサステナブルな包装を採用した商品など、消費者の間では環境や社会への配慮を重視した購買行動が広がりつつあります。そのため、製品のストーリー性の有無が購買決定に重要な要素となるのです。価格高騰は短期的には困難を伴いますが、長期的な視野で持続可能な事業モデルを構築することで、企業の成長と社会への貢献を両立させるチャンスでもあるのです。

 環境と健康は共通のテーマ

そして、ココア高騰の原因とされる気候変動、森林伐採、健康志向の高まりは、私たちグリーン・ポケットが扱う植物と深く関係があります。本コラムでも何度か取り上げてきました。即ち、環境と健康の問題です。

 気候変動は地球温暖化の影響であり、その原因とされるのはCO2の増加です。産業革命以降人間は化石燃料を燃やし森林伐採を続けた結果、森林や海からの自然現象だけでは吸収しきれないCO2が大気中に残ってしまい、気温上昇につながったとされています。CO2を減らすことができるのは植物だけが持つ力です。

また、森林保護に関してもグリーン・ポケットでは国産間伐材を利用した植物プランターを開発し、間接的に日本の森林を保護しています。

そして植物を身近に置くことでメンタルヘルスが改善されることが産学連携研究で明らかになっています。

現在のチョコレートの値上げはカカオ豆高騰が原因ですが、その背景には環境と健康の問題があります。このように形は違いますが、グリーン・ポケットが掲げる「環境と健康の提案」は共通のテーマとなっています。様々な分野と繋がっている意義を感じる仕事です。